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糖質制限の注目度が高まった背景の一つに、この書籍の存在を忘れるわけにはいきません、「炭水化物が人類を滅ぼす」という本です。非常に評価が高く、人類学や歴史、生物学の観点からの考察が多いため、論理的で読みやすい良書です。
しかし、この本の内容は糖質制限経験者である私には同意できない主張も多く、しかもそれが当たり前のように、都合よく掲載されているのも気になりました。今回はそのポイントについて反論してみたいと思います。
目次
炭水化物が人類を滅ぼすへの反論したい点は3点
最初に断わっておきますが、私は糖質制限の反対派ではありません。条件付きの賛成派です。条件付きというのは、一時的な手段としての糖質制限は賛成だが、一生続ける糖質制限は反対という立場です。それをふまえてお読みいただきたいと思います。
まず、「炭水化物が人類を滅ぼす」への反論ポイントは大きく分けると以下の3つです。
- 炭水化物を抜いても腹持ちがいいなんてあり得るのか?
- 糖質制限は睡眠障害の原因除去にはならない
- 肉体労働者やアスリートにとっての糖質はある程度必要
では順に解説していきます。
炭水化物(糖質)は腹持ちがいいのか悪いのか?
わたしにとっては炭水化物ほど腹持ちのいい食材はないと思っています。糖質制限をしていた際、いくらおかずやタンパク質を増やしても、ごはん一杯の満腹感と腹持ちのよさにはかなわないことを何度も経験しています。
この点に関して、著者は本の中で腹持ちがわるい食品として紹介しており、糖質制限はを続けると1日2食になる、空腹感もないと主張しています。
糖質制限で1日2食は無謀
しかし、糖質制限で空腹感を全く感じず、1日2食で十分なんていうのはもとから小食の人か、あるい中年~年寄りだけです。自分の経験を振り返ると、このような都合のいいことは絶対にありえなかったのです。
いくら食べてもすぐに空腹感に襲われるので、1食のボリュームは普段の1.5倍~2倍に増やしました。そこまでしてやっと体重がキープされ、空腹感が多少やわらぐ程度でした。(ちなみに私はかなりの痩せ型)
人による、というとそれまでですが、若い世代や働き盛り、日ごろの活動量が多い人がこのように極端な食事制限をするとぶっ倒れます。実際、私は前述のような食事でも体力がどんどん落ちていき、ウォーキン中に立ち止って動けなくなったことがあります。(そのかわり中性脂肪も下がったけど!)
睡眠障害の症状緩和について
私が糖質制限を開始したのは専門医の指導の下で栄養療法の一環として行いました。なぜ栄養療法が必要だったかというと、慢性的な不眠、体の不調、バッテリー切れのような体力が落ちる症状に悩まされていたからでした。
睡眠障害の治療の一つとして糖質制限を行いはしましたが、著者の主張には反論、正確には経験者だからわかる補足があります。著者の主張は作中、このように記述されています。
睡眠障害の原因はさまざまだろうが、その原因の一つが糖質色である可能性は否定できないし、むしろ可能性が高いと思う。睡眠障害に悩んでいらっしゃる方はとりあえず、「主食を食べないだけで睡眠障害が治るのなら、やってみようか」程度の軽いノリで、糖質制限を始めてみるのも悪くないと思う。
炭水化物が人類を滅ぼす V 糖質制限をすると見えてくるもの P80~
これに関する補足は、確かに糖質過多な食事が血糖値の上昇を招き、睡眠に悪影響を及ぼしているのは同意できるし、糖質制限をすれば症状の緩和にはなると思います。
睡眠障害の原因は糖質制限では除去できない
しかし、睡眠障害の原因の多くは自律神経が深く関わっていることが大半です。布団に入るとリラックスモードの副交感神経が優位になりますが、睡眠障害の方の場合は緊張状態の交感神経が優位に働いたまま、入れ替わりがうまくいかないのです。いつまでたっても緊張状態の交感神経が優位に働いていることが多いため、寝付けないことが大半です。
つまり、糖質制限は症状の緩和にはなるが、根本原因の解決にはならないということ。睡眠障害の治療には糖質制限を行いつつ、自律神経の正常化も必要です。