病に倒れ、志半ばでこの世を去った金子重輔
文の心を締め付けるような一言だった。自分の兄がしたことがここまで人の心を苦しめているという現実。そんな折、寅次郎から皮膚病の薬を金子重輔に差し入れてやってほしいとの手紙が届く。母である滝の後押しもあって、文は薬を手にもって野山極へ訪れた。
しかし、文が目にしたのは屍となった金子重輔が荷車の乗せられて運ばれるところだった。ツルはその荷物をうつろな表情で引いている。文はあるお願いをするために、ツルに自らが寅次郎の妹であることを打ち明けた。
金子重輔が死の最後まで手に握りしめていたもの、西洋のボタン。金子重輔の志が詰まったそのボタンを兄に託すので、譲ってほしいというお願いをした。しかし、ツルはそのお願いを拒否した。
大義とはなにか?その大義の光で照らされる人々とはいったい誰か?
特別に許可を貰い、牢獄の中へ入り兄寅次郎と話す機会を得た文。寅次郎を目の前にし、金子重輔がなくなったことを告げた。そして、文は自身の思いのたけをぶつけはじめた。
兄のいう大義とは何か?兄が国禁を犯したことで、兄はお役を免じられ、父はその責任を感じて切腹しようとまでした。自分たちを守るために。しかし、兄は国を守るという大義を語っても、その大義は私たち家族を一向に照らさない。
そんな私利私欲の志じゃなく、一生死ぬことのない志を果たすという、証を見せてほしい。
翌日、文の自宅前にはボタンが置かれていた。金子重輔が最期まで握りしめていた、あのボタンが。
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