TBSの日曜ドラマ、唐沢寿明さん主演の「ナポレオンの村」の原作に当たる「ローマ法王に米を食べさせた男」を読了しました。その感想レビューは「ナポレオンの村原作:ローマ法王に米を食べさせた男の感想」で詳しく書いているのですが、ドラマのあらすじやストーリー展開について少し書いておきます。
大まかな内容石川県能登地方にある羽咋市(はくいし)というところを舞台に、「過疎高齢化社会の再生と農業ビジネスの拡大と農家の自立」を目指すお話です。実話を基にした話なので、登場人物も当然実在する方々です。
そのため、ドラマでは東京都の星河市の神楽村という実在しない架空の舞台で話が進んでいきます。
目次
TBSドラマ:ナポレオンの村のあらすじストーリーとネタバレを少々
前提としましては、原作に当たる「ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)」は小説ではなく実話を基にした体験記であること。
さらに、実在の人物たちを実名のままドラマ化する訳にもいかないのであらすじやストーリー展開、登場人物の背景、設定もかなり変更が加えられているという点。
一応原作には当たるのですが、テーマはそのままに、脚本自体は完全に新しく作ったものという認識で間違いないと思います。そのため、あらすじ&ストーリーは原作ではこういう風に進んでいるので、こういう要素を含んだストーリー展開になるんじゃないかなぁというあくまでその程度だと思ってください。
ネタバレもネタバレになっているかどうか、放送を見てみないと分からないのが正直なところです。
原作でのストーリーは大きく分けてふたつ
原作では、石川県能登地方の羽咋市で高齢化過疎社会の解消と農業ビジネスの拡大・農家の自立を目指してきた体験談がストーリーの大きな柱です。それから、作者である高野誠鮮さんが羽咋市でUFOを使った町おこしをした際の体験談がまとまっているのが二つ目の柱。
ドラマでは前者の方がメイン、後者の町おこしはUFOではなく他のものに題材を置き換えて話が進んでいくのではないか、と思います。見た感じでは前者の農業の方がメインになると私はおもっているのですが、放送前の段階では何とも言えないなぁというところ。
ナポレオンの村というのは不可能を可能にするというメッセージ
ドラマのタイトルになっている「ナポレオン」の名は、ご存知の通り「私の辞書に、不可能の文字はない」という裏のメッセージがあります。原作の著者も、その本の内容もまさしくそのテーマに合った体験談です。
小さな名もなき都市の一公務員が世界の政治家、大統領、VIP、NASA、世界中日本中のマスメディアと協力してPRしていきます。ちょっと引くぐらいの発想力と行動力で現状を打開していく話なので、ドラマでもこういった話が多く出てくると思います。
ちなみに、原作ではタイトルが「ローマ法王に米を食べさせた男」になっている通り、その地方で生産される美味しいお米をローマ法王に献上し、希少価値を高めてブランド化していきます。
コメの生産管理も人工衛星を使って格安技術を導入。UFOを使った町おこしも、NASAと協力し、宇宙飛行士を呼んだり、本物のロケットを買ったり、破天荒な話が山ほど出てきます。
ちなみに、全部実話です。だから、不可能はないってことなんですね。
高齢化過疎社会(限界集落解消)を目指す農業ビジネスの施策
もともと、石川県の羽咋(はくい)市でこのような取り組みが行われるようになった背景は、以下の2つの大目標があったからでした。
- 過疎高齢化社会の再生
- 農作を1年以内にブランド化する物
限界集落ということは、高齢者ばかりで若者がほとんどいない地域です。本の内容によると、JAを通した農業では農家の年間平均所得が経った87万円。これでは食っていけない、と人が流出する背景がありました。
そのため、廃村や役所からの斬り捨てを免れるために上の二つの大目標の必要性が迫られたわけです。
そして、若者が出ていかない街づくりを目指すうえで以下3つの事柄を重視。
- 大規模市場流通体制から個別流通体制への移行と利益を直接農家へ還元する仕組み作り
- 農作物のブランド化
- 雇用創出:直売所、加工所、集荷所、駐車場などの設置
スピード感のある取り組みを重視するため、役所特有の会議、企画書、稟議などの面倒な手続きはナシ。市長をはじめ、上司には全て事後報告。当初の予算はたった60万円でした。
ナポレオンの村のあらすじ?原作で登場した具体的な施策の内容
原作では一つ一つ丁寧に、そして細かい実話のエピソードを交えて話が進んでいきますが、便宜上原作ではどんな事柄をやってきたのかを簡単にまとめます。
- 都心から入居者を募る(空き家バンクの利用)
- 農家のJA・役所依存体制の脱却
- 烏帽子親制度
- 口コミだけが宣伝の隠れ家的な農業カフェ
- 神子原のコシヒカリをブランド化(→ローマ法王に献上!)
- ブランド化した米の袋デザインをエルメスのデザイナーに描いてもらう(お米30㎏だけで依頼)
- ワイン酵母の日本酒を外国人記者クラブで発表
- 人工衛星を使った科学的生産解体制の導入
- 地元農家による共同出資の株式会社設立(直売所、加工所の設置)
- 農薬・化学肥料、除草剤を一切使わない自然栽培(自然栽培実践塾の設置)
他にもいろいろあるんですが、だいたいこんなところ。烏帽子親制度というのは、古来から日本に伝わっている風習の一つで、疑似の親子関係を作り都市部から若者や学生を短期間受け入れる制度の事。
若者が村に頻繁に来るようになり、人との交流が盛んに。さらに都心からの入居者は試験アリ面接アリ。しかも判断は村民が行い、お金は一切出さない、倍率は数十倍という厳しい条件でした。
見どころは主人公のスーパー公務員と地元農家との交渉
田舎の人情、そして変化を嫌う体質。どれだけ正当性を訴えても、責任の所在や失敗した時の事ばかりがクローズアップされてなかなか重い腰が上がらないのはどこも同じ。
地元農家との話し合いでは怒号が響き、大反対に合うのはしょっちゅうです。取り組みが一歩一歩前進して成功してきても、結局法人化して自立するとなると今までの取り組みを一転させて大反対。こんな窮地に陥りそうな時のスーパー公務員の機転を利かせた交渉術はかなり見ものです。
原作を読んでいても、相手の逆をとったり、長期戦に持ち込んだり、やって見せて納得させて実際にやらせて、色んな創意工夫でリーダーシップを発揮していきます。
ドラマでは細かいところは変わるだろうけど、こういうイメージで話が進むはず
上に挙げたような具体的な取り組みを一つ一つ丁寧に描くかどうかはわかりません。ただ、過疎化とJA依存の農業で低所得に苦しむ地方の限界集落をスーパー公務員が中心になって解消していくサクセスストーリーであることは間違いないはず!