エイジハラスメントの原作読了:ドラマと小説のあらすじの違い

|更新:

スポンサーリンク




Pocket
LINEで送る

テレビ朝日で放送される武井咲さん主演のドラマ、エイジハラスメントの原作(内館牧子さん著)を読了しました。2008年に発表された小説で、女の年齢が題材になった原作小説です。実際に本を読んでみた感想とドラマとの違いについても述べてみたいと思います。

小説自体は半日で読み終えるぐらいで非常に面白かったですが、展開的には読んでいてちょっと疲れるような内容でした。

 

 

エイジハラスメントの原作小説はドラマのあらすじと全く違う

エイジハラスメント (幻冬舎文庫)

原作小説を読み終えてからドラマのホームページをのぞいてみたら、全然内容が違う。違いと言っても、タイトルと題材以外は全て違うと言っていいぐらい。主人公の英美里は原作にも登場しますが、主人公ではないし、設定も全然違う。

え、こんなに変わってるんだったら原作って言えないんじゃない?ってレベルであらすじも設定も登場人物も何もかも違うので、最初見た時はびっくりしました。

 

原作のあらすじ:主人公は30代半ばの主婦

原作の方は、主人公が蜜という30代半ばの妻であり母でもある女性です。若さへの嫉妬、日に日にオバサンになることへの抗いと恐怖、そして自分が失った若さと美しさを持つ年下女性への羨望のまなざしなどを中心にしたものです。

エイジハラスメントとはいえ、年齢差別や年齢を理由にした不当な扱い、嫌がらせ、言動がクローズアップされるのは最初の方だけ。あとは信頼しきって愛している夫と若い女性との不倫が判明し、若さへの嫉妬と言い争いが激化。夫婦関係、家庭環境の移ろいを中心に描きます。

結局は、女性は40代から!女性は外見や若さじゃなく中身!というフレーズに嫌悪感を抱いていたのは、誇れるような中身のない自分に自信がなかっただけ。夫との結婚生活が幸せであることを必死に証明しようとしていただけの弱い自分に気づき、夫との新しい人生を歩みだす…というものでした。

 

ドラマでも年齢や性別がクローズアップされる内容

ドラマのホームページの紹介を見ていると、商社という男社会に飛び込んだ若い女性がエイジハラスメントを受けながら逞しく抗うヒロインという内容。題材は原作と同じようなものですが、主人公の年齢も背景も、そして中心となる舞台も全然違うので、細かいあらすじや脚本は新しく再構成しているようです。

なんせ主人公が若さに嫉妬を抱く側だったのが、ドラマでは嫉妬される側になっていますから、結末部分の最終的な落としどころも変わってくるかもしれません。ドラマでの嫉妬する側は稲森いずみさんが演じる役が担いそうな感じだけど。

アンチエイジングとかダイエットとか原作では結構出てきたけど、稲森いずみがそういうのを頑張っている感じで登場するのか。。

 

原作小説を読んでみての感想とエイジハラスメントへの印象

エイジハラスメントはもちろん、女性にとってみれば気分のいいものではありません。ただ、原作の主人公はエイジハラスメントに悩むというよりは、エイジハラスメントに過剰になりすぎ、そして敏感すぎるほど自分を見失っていきます。

そして、年齢や若さにいちいち反応してしまうことが、余計に自分の幸せを遠ざけ、自分の首を絞めるようなストーリー展開でした。

女同士の嫉妬やバトルもしょっちゅうあったし、実は自分の方が優位に立っているとか、自分の方が勝った負けたなどの表には出さない裏の心理戦。結局は若さや美しさといった目に見える安易な事柄が優劣の基準。

だから、こういう生き方はメチャクチャ疲れるだろうなぁと。

実際、読んでいるだけで結構疲れましたからね。。この先どうなるんだろう!というハラハラドキドキ感というより、危なっかしい感じとか人間関係が徐々に微妙になって言って、最後に一気に崩壊する展開に、読んでいてとっても疲れました。

もちろん、これは「面白かった」という意味の褒め言葉ですよ。

 

ドラマの方も面白そうだけど、原作の方を手に取ってみてはいかが?

巻末のあとがきから著者の言葉を少し引用。

「オバサン」という言葉は、女に対して禁句である。であればこそ、男たちに言われると、男たちが考えているより遥かに大きな遺恨を残す。そう言った男の全人格を否定するほどの遺恨とてあり得る。

だが、男たちは割と無神経に「オバサン」「オバチャン」を口にする。昨今はかなり言わなくなったとはいえだ。

(中略)

私はこの「他者が勝手に決める」ということに興味を持ち、女の年齢について書きたいと思った。

エイジハラスメント (幻冬舎文庫)「あとがき」P265~266

なるほど、着眼点がおもしろいと思った。

男性側からすると、親しみを込めて呼んでいる場合もあるので、これはこれで難しいんだろうけどさ。

下町の常連さんが多い庶民的な食堂を切り盛りする女性に「おばちゃん」と笑顔で常連が声掛けする。それもエイジハラスメントです!って言われたら、それはそれで窮屈だしねぇ。

原作でもそうでしたが、おそらくドラマでも、日本ではこう、日本の男はこう、日本社会はこう。でも海外ではこう、フランスの女優はこうコメントしてる、みたいな展開がきっとあるはず。

価値観に絶対的な正解も不正解もないんですが、同じような女性の年齢に関して思うところがある方は原作を手に取られてみてはいかがでしょう。案外、スッキリするかもしれません。(逆にコンプレックスの塊になる可能性もあるけど…。)

Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク