ナポレオンの村原作:ローマ法王に米を食べさせた男を読んだ感想

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TBSでドラマ化される「ナポレオンの村」の原作に当たる「ローマ法王に米を食べさせた男」を読みました。ドラマでは唐沢寿明さんが主演、日曜夜9時枠で半沢直樹、ルーズベルトゲーム、天皇の料理番などなど本格はドラマとして名高い放送枠でのドラマ化です。

その原作本が想像以上に面白かったので記事にしてみます。時間に余裕のある方は、是非読んでみてください。

 

 

TBSドラマ・ナポレオンの村の原作:ローマ法王に米を食べさせた男の感想レビュー

面白かった。

いや、ほんとにおもしろかった。

想像の3倍、いや5倍は面白かった。10倍面白かったとに言うと逆に嘘くさくなるので、リアリティ重視で5倍にしてみました。

ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)

私は自分の人生とか重要な決断を下す時、あるいは何かモヤモヤしたり迷走しているときに読みたくなる本が数冊あるのですが、間違いなくこの本はこのコレクションに入ります。図書館で借りてきたんですが、文庫本が新たに発売されているので、今度それを1冊買おうと思います。

何が良かったかって、「生きることに積極的であること」、「可能性の無視は最大の悪策」とし、「人生、仕事を欲張りに楽しんでいること」。そして最後の最後まで行動しやり切ってしまう爽快さ。

こういう「常識や先例、人の目に囚われず、ありとあらゆる可能性を探し出してベストを探し出し、そて確実に行動に移し、100%やりきってしまうという価値観」が私は大好きなので余計に心打たれました。

 

ドラマ・ナポレオンの村の原作「ローマ法王に米を食べさせた男」は小説ではなくエッセイ

この本の内容を簡単にまとめると、石川県能登地方にある羽咋市という限界集落が連なる町を舞台に、過疎高齢化社会の再生と農業ビジネスの充実を目指すお話です。

そのために町おこし、都市部の若者との交流、限界集落解消、お米や農作物を中心にした農業ビジネスの立ち上げ、法人化など色んな施策に打って出ていきます。

ドラマの原作になっている本ですが、小説ではありません。自分たちの仕事ぶりと成果、その過程と苦悩などをまとめたビジネス本に分類されると思います。体験記という括りにもできますし、文体はエッセイと言っていいでしょう。

 

なかなかボリュームがある本で、内容も結構本格的なので読み応え十分です。

 

公務員という職業イメージを根底から覆す

この本を読んだ感想を一言でいうと、(失礼を百も承知で言わせてもらえば)

 

こいつマジすげぇな…(絶句)

 

です。これが「ローマ法王に米を食べさせた男」を読んだ、偽らざる私の正直な感想です。

 

前半の方は「優秀な公務員なんだなぁ」ってレベルだったのが、「なんかこの人、公務員っていうイメージらしくないな」に変わり、「ものすごい勉強家で対人交渉能力にも優れて、うわぁすごいなー」になって、さらに読み進めると「一体何者なんだこの人は」に変化し、最後の方になるともう「・・・・(絶句)。」でした。

いや誇張でも宣伝でもないんですよ。本当に読んでいてそう思いました。

それぐらい、この著者のパワフルな行動力と論理性、知識、交渉力、前向きさ、誠実な人間性に気づいたら惚れてしまっていた。

この本を読んでいて、こんな風に前半と後半で著者に対する印象がガラッと変わります。

 

「ローマ法王に米を食べさせた男」のなにがそんなにスゴイのか

本の題名にある通り、ローマ法王に米を食べさせた男です。お米を献上して、ブランド化に成功しました。

他にもいろいろあります。本当にいちいち発想が豊かです。しかも成功させてしまう。

「いやいや、そんなの絶対無理でしょ。そんなこと考える暇があるならもっとまじめに考えろよ」と言いたくなることを平気でやります。紆余曲折ありながら、結局最後は成功させてしまう驚異的な行動力です。

By: tonynetone

だって、日本の大都市でもない限界集落解消を目指す小さな町の公務員が、世界を牛耳る大政治家のレーガンとかサッチャーとかゴルバチョフとか、日本の総理大臣とかアメリカのNASAとかローマ法王に直筆の手紙送り付けて、しかも大使館とかと交渉に持ち込んで、さらにそれを成功させてしまうんですよ。普通そんなこと考えないでしょ。

UFOで町おこしとかしちゃって、しかも雑誌やテレビやマスコミを駆使していろんな狙いを的中させていく。もちろん、失敗もいろいろあるんですが、その失敗を楽しんで発想を逆転させて成功させてしまう。凡人にはなかなかできない。

 

田舎の変化を嫌う、失敗を恐れる、責任をとらせる、よそ者を嫌う風習の中で奮闘

しかも、「失敗したらどうするんや!役所が責任取るんか!!」とかいう、いわゆる田舎の頑固おやじたちを率いて、挑戦し続け、しかも結果を出し続けるのは並大抵のことではない。会議や交渉の席での発言内容も、参考になります。

ちなみに私は器が小さいので、こういう文句を言われるとカッカきてしまいます。しかも言い負かそうといちいち張り合ってしまうので、絶対うまくまとめる自信がない。なるほど、こういう風にやればいいのか、というのも勉強になりました。

 

元々は生え抜きの公務員じゃない

途中、人にいろいろ話を聞くことが多い公務員の仕事で、こんな公務員らしくない人は初めて見た(読んだ)と思いました。起業家精神あふれる公務員ってあんまり聞かないんですが、途中読み進めて言って納得。

この本の作者である高野誠鮮さんは元々は雑誌のライターやテレビ番組の制作の仕事をされていた方で、家庭の事情などがあって地元の石川県羽咋市に帰郷。そこで公務員の仕事に就いたそうです。

生え抜きの公務員でこんな仕事っぷりの人はどんな境遇でこの仕事観を養ったのか不思議でしょうがなかったのですが、メディア系の仕事からの転職と聞いて納得しました。

 

地域振興、農業ビジネス従事者、研究者は読んでおいて損はない

By: tamba sc

地域振興や空き家バンク、農業ビジネスに従事する人たち、JAの人間、大学生などの研究者は読んでおいて絶対損はしないと思います。農業と一口に言っても、売り方、田舎特有の他の価値観を認めない価値観の中での説得と挑戦、リーダーシップ、経営術、人工衛星などを使った格安の管理術などかなり本格的なノウハウも散りばめられています。

儲かる農業を目指すというのは当然ですが、限界集落解消までの過程と成功、そして多くの失敗などの過程は多くの学びがあります。

 

「可能性の無視は最大の悪策」は座右の銘にしたいぐらい

可能性の無視って人生をそんさせているんだなぁとつくづく思います。無理とか出来るとか、損か得かじゃなくて、可能性が少しでもあるならやってみる。欲張ってみる。法律の範囲内で、とことんやってみる。

可能性の無視は最大の悪策というのは、本当にいい言葉を聞いたなぁと思います。自分の可能性を捨てたくない人は、読んでみてはいかが?

 

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