まっすぐすぎるが故に危なっかしい寅次郎
寅次郎の兄、梅太郎や小田村伊之助はその建白書がもし寅次郎のものであったなら、どういう処分が下るのかをよく理解していた。なんせ脱藩事件の処分が下ってすぐのことである。事実上、長州藩士の肩書がなくなった人間がお殿様に政治のことを直接意見するというのは、無礼にもほどがある。
最悪の場合、死罪。しかもよくよく話を聞けば、寅次郎のもので間違いなく、しかも最初は匿名でなく自身の名前入りで提出しようとしていた。それを知った周布政之助という人物が事情を勘案し、匿名に差し替えたという衝撃の事実が判明する。寅次郎はまっすぐすぎる。危なっかしすぎる。
ことの重大さといきさつを理解しきれず、置いてけぼりをくらう文のもとに、ひょっこり長崎帰りの寅次郎が姿を見せる。
「事の重大さに誰も気づかん。誰も動かん。だから自分でやるのみじゃ。」
兄梅太郎(原田泰造)と寅次郎
江戸にもどるとき、もう心配はかけないと兄の梅太郎と伊之助と約束した寅次郎であったが、江戸で2人は顔を合わせる。その部屋の状況を察した兄の梅太郎は激怒。
なんせ、寅次郎は黒船に乗り込み、ペリーを斬り殺そうとしているのだ。自分のすべきこと云々も大事だが、その影響を考えてくれ、やりたいことに突っ走るだけでは子供と同じではないか、となんとか兄梅太郎は弟の寅次郎を抑えようと説得する。兄は涙を流して説得し、弟も涙を流して聞いていた。
久坂玄瑞と文の出会い
長州にも異国が攻めてくる。異国船がやってくる。そんな噂が耳を離れず、兄寅次郎のやろうとしていることを上手に理解できない文。海には近づくなと厳しく言われていた文だったが、深夜に一人家を出る。
同じく、異国船を見ようと歩く一人の少年がいた。その少年は医師の息子で、肉親をすべて失い孤独な少年だった。その少年と文は出会い、深夜海を目指して大冒険をすることになる。その少年は兄に似ている。兄と同じことを言う。そんな不思議な共通点に魅力を感じ、腕を引っ張っていく文。
その少年こそ、文の最初の夫となる久坂玄瑞、その人である。
突然の知らせ
自宅に帰った文のもとに、父百合之助が自宅に駆け込んできた。
「寅次郎が国禁を破り、ペリーの黒船に乗り込んだ」
>>第4話「兄の大失敗」へ続く
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