と思いきや、久坂玄瑞江戸へ
突然、久坂玄瑞の江戸遊学が決まった。松下村塾に対して否定的な立場だった椋梨がその職を免ぜられたことで伊之助と周布が実権を握り、優秀な人材を江戸へ出すことになっていた。その人材は松陰門下生から選ぶという手はずが整っていたからだった。
そのときの幕府はアメリカとの通商条約締結に動いており、その条約文の下書きを江戸にいる吉田稔麿が手に入れ、それを萩に送っていた。時は迫っている。覚悟を決めた久坂は文を呼び出し、1人で江戸へ行くことを告げた。そして、離縁して独り身となって江戸へ行きたいとも。
文と久坂の大激論
あなたは頑固者で融通がきかず、誰かに否定されればすぐ頭に血が上る。強情でひねくれもの、すべてにおいて気取り過ぎなんです、あなたは。
久坂が決して他人に言われたくないことをズケズケと言い並べる文。でも、だからこそ心配なのだと。そんな人は志を遂げる前に命を落としてしまうでしょ、素直になって下さい。見守ってほしいんでしょ。私の志はあなたと共に生きていくことです。
感動的なシーンなのに、久坂は涙を浮かべながら、またしても融通がきかない。
「その…お前は決して美人…という訳ではないが……かわいい」(久坂)
側で控えていた塾生たちによる江戸行きの祝い、そして宴が始まった。
久坂が江戸へ向かった二ヶ月後、安政5年(1858年)井伊直弼が徳川幕府大老に就任した。のちに吉田松陰を含め100人以上の志士や学者たちを弾圧、処刑したあの「安政の大獄」を指揮した張本人である。
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