10月23日、最高裁で争われたマタハラ訴訟は「女性が妊娠を理由に負担の軽い業務への異動を求めたことをきっかけにする降格は原則違法」との判断を示し、一審二審の判決を破棄し、広島地裁に差し戻しを命じました。
マタニティ・ハラスメントは女性の社会進出に伴い被害方向が増える一方、会社側にも同情の余地があるケースも散見されています。非常にデリケートな事柄故に議論や判断が難しくなっています。マタハラそのものは根絶すべきでしょうが、実態を正確に把握するには反論側の意見も参考になります。
マタハラ訴訟の概要
日本経済新聞の記事によると、マタハラ裁判の概要は次のようになっていました。
妊娠・出産を理由にした女性従業員への不当な対応や言動は「マタニティーハラスメント」として問題となっており、均等法は妊娠などによる不利益処分を禁じている。
一、二審判決によると、女性は2004年に管理職の「副主任」に昇格。妊娠した08年に業務が軽い部署への異動を希望したところ、異動後に管理職を外された。管理職手当の賠償などを求め、10年に病院を提訴した。
つまり被害女性は妊娠を機に管理職から降格となったこと、給与面でも減額が行われたこと、逆に言えば、「管理職からの降格理由=妊娠」であることを不服とし、裁判を起こしました。
マタハラとは?(=マタニティ・ハラスメント)
テレビやネットでの各種媒体で取り扱われるニュースで盛んに報じられているように、マタニティとはマタニティ・ハラスメントの略で「妊娠を理由に企業から不当な扱い、言動、処分などの精神的・肉体的な嫌がらせを受けること」を指します。
安倍内閣の女性閣僚の抜擢にあるように、日本でも女性の社会進出の重要性が盛んに叫ばれておりもはや国家的な取り組みとして政治主導の改革が行われている最中です。そういう背景があるため、このようなマタハラに悩む女性が増えている中、最高裁の判決がどのようなものになるのか社会的な注目度が高まっているという訳です。
世間の注目が集まった最高裁の判決は「原則違法」
最高裁まで争われたマタハラ訴訟は広島地裁に差し戻しとなり、原則妊娠をきっかけにした降格は違法との判決でした。女性側が降格の承諾を自由意志によるものではなかったことに加え、降格の理由が明らかではないことが理由だそうです。
反論意見も多数
非常に極端な意見ではあるものの、逆マタハラといって「妊娠しているんだから周囲が私に気を使うのが当たり前」といった傲慢な態度で周囲を困惑させるケースが有るとの意見もあります。極端ですが、「妊娠しているんだから負担が軽い仕事にするのは当たり前、周囲も私に気を使うべきだし、急なつわりで遅刻したり仕事を休むこともあるから。でも給料は下げないでね」と言われると、会社側もどう扱うべきか悩むのが普通です。
また、出産後に職場復帰をしていても幼い子供が急に熱を出し、その都度仕事を抜けなければいけないなど、職務の遂行が明らかに困難である以上、降格はある意味妥当ではないか、との声もあります。