日本テレビの深夜枠でドラマ化される野沢尚さんの原作小説にした、恋愛時代を読みました。文庫本では上下巻の2冊、ハードカバーの方では小さな小さな文字で約500ページというなかなかのボリュームで読み応えがありました。
あまり恋愛小説は読まない方なのですが、せっかくドラマ化されるぐらいの注目作ですし、本好きとしては「とりあえず手に取っておこう」と思って読み始めました。小説作品としては好みが別れるかと思いますが、先が気になるあらすじとヤキモキさせる展開に引き込まれたのも事実です。恋愛時代の感想と簡略的なあらすじ、ちょっぴりネタバレも含みつつ、今作品を紹介したいと思います。
目次
日本テレビでドラマ化!野沢尚原作「恋愛時代」のあらすじと感想(ネタバレ少々)
まず恋愛時代という原作小説を読んだ感想としましては、「こんなカップルが近くにいたらたまったもんじゃない」ってことですw あらすじは、1年3カ月で離婚した夫婦がお互いを幸せにしてくれる人を紹介していくという話なんですが、もちろんお互いの前では素直になれず本音は違うところにある、というもの。
素直に自分の心の声を話していればこんなことにはならかなかったし、色々な人を巻き込んだり傷つけたりすることもなかった、という展開です。恋愛小説なので、当然ながら女性色が非常に色濃く、男性が見てもあまり共感するところは少ないのかな、という印象です。まぁ、一言でいうと「マジめんどくさい」ですねw
あと、あらすじ的には一回で終わってくれればいいものの、なんと同じような展開で2週目に入っていきます。この2週目感が本を読んでいて、「またこの展開が続くのか…」と読み疲れした所がありましたから、ドラマではその辺はサクサク進む編集であればいいですけど、話がなかなか進まずにイライラするかもしれません。ただ、先が気になる!というドラマ特有の引張りはやりやすいストーリーだと思います。
原作小説は第三者目線で描写があるのではなく、主人公になる男性と女性それぞれの主観的な目線で描かれています。心の声もそっくりそのまま、という感じの文体で、最初はその文章に慣れるのに手間取りましたが、恋愛小説の場合こういう書き方の方がわかりやすいのかな、と思います。
恋愛時代の簡易的あらすじと結末のネタバレ
ここからネタバレが入っていきます。先を知りたくないという人は読まないよう、お願いします。ストーリーの推移は細々した設定と展開が無数に出てきますので、ここでは便宜上あらすじの骨格部分だけを抜き取って簡単に紹介していく、という形をとります。
小説の内容全てをここに書くわけにもいきませんので。ドラマを見ながらであれば、ある程度あらすじは理解できる程度しか書いていません。原作小説の構成は全7章なので、それに沿って結末までのあらすじをネタバレしていきます。
第一章「別れても好きな人」
結婚後、子供を授かるも死産。一年三か月という短い結婚生活を終えた衛藤はると早勢理一郎。離婚してからも何かと顔を合わせては切っても切り切れない不思議な関係を続けていた2人。売り言葉に買い言葉、お互いを幸せにしてくれる人を紹介しあおうという謎の展開に発展するも、はるは未だ理一郎への想いを捨てきれずにいた。
話が進んでしまう前に打ち明けようとするも、その場で理一郎の紹介で引き合わされたのは、二人の結婚式を挙げた式場のスタッフ、永富という男だった。
第二章「もしかしてPARTⅡ」
時すでに遅しを悟ったはるは、理一郎に小笠原かすみという一人の女性を紹介した。バツイチ子持ちの女性で、はると同郷の仲。紹介された者どうし、永富とかすみは互いを「がんばりましょう!」と励ましあい、はると理一郎は未だに素直になり切れず夫婦げんかの延長戦に明け暮れる。
はるの妹のしず夏とかすみの娘、彩と一緒になって、はるの親友で女子プロレスラーをやっている小百合の試合を見に6人で出かけていく。試合後に夕食を共にしながら、はると理一郎の過去の夫婦像が暴かれていく。
第三章「そっとおやすみ」
理一郎はかすみとの関係を進められないでいたし、一方のはると永富も同じだった。お互いがお互いに、自分が先に進まないと相手は安心して関係を加速させられないことを意識していく中、理一郎はかすみとの仲も、娘の彩との関係も一気に加速させていく。
永富も実は自分が大企業の御曹司という意外な顔を見せはじめ、両親や親せきにはるを紹介し始める。永富との関係を進めるべきか悩み苦しむはるは、結局永富との関係を清算。理一郎が幸せな結婚をするまでは、自分の幸せは考えられない、それが彼女の答えだった。
第四章「また逢う日まで」
理一郎にひそかな想いを抱いていたプロレスラーの小百合は自分が知っている全てを洗いざらい暴露する。理一郎への好意はもちろんのこと、はるがどれだけ理一郎を愛しているか、その場にいたかすみに突き付ける。かすみはその事実を知って、身を引くことを決意し、ここで物語から退場。
ここで理一郎とはるが一緒になればいいものの、そう簡単にいかない。理一郎には中学時代の同級生の多美子が、はるには妹の大学の助教授である喜多嶋とそれぞれ急接近。喜多嶋には長年別居している妻がいたが、ここでも再び幸せになってほしいとお互いの後押しをしはじめる。
第五章「わたし祈ってます」
理一郎と多美子は結婚。結婚式の牧師ははるが務めることになった。その少し前、はるの前に喜多嶋の妻である貴子が突然姿を現し、離婚届を突き付ける。これをあなたに役所に届けて欲しいという。はるにしてみれば、これを自分が提出することは喜多嶋との将来に責任を持つという意味であると悟り、役所に出せないでいた。
結婚式の当日、はるは死産だった当日の理一郎について新事実を知る。悲劇を知った理一郎ははるの元を離れて仕事に行ったことになっていたが、実は霊安室で朝まで泣き崩れていたという。その事実と衝撃の余韻が残る中、多美子と理一郎の結婚式の牧師を涙ながらに務め上げる。
第六章「終着駅」
涙を目の前で見た多美子は、理一郎との婚姻届けをなんと、はるに託す。これをあなたに出してほしい。離婚届に婚姻届け、なんとも不思議な自分の運命を呪いながら、はるは役所に出せずにいた。
妹のしず夏の策略にハメられた理一郎とはるは、ひょんなことから寝台列車で北海道に向かう。ここで、もう一度二人は腹を割ってすべてを話し合い、お互いがどう人生を生きたいのかを話すべきというのが周囲の考えだった。はるの妹、しず夏からの不意の告白に動揺する理一郎だったが、2人はそのまま北海道へ。
そして、やっと、やっと、やっとはると理一郎の二人はお互いの愛を誓う。多美子は理一郎を残して料理教室の仕事でアメリカへ行くという。
終章「娘よ」
理一郎とはるの間には娘が出来た。そして、もう一人、はるのお腹の中にいる。なんてことのない、母と父と娘が公園でたわむれる微笑ましい風景。
~END~
ねっ、めんどくさいでしょw