池井戸潤さん原作の「ようこそ、わが家へ」の不正取引問題のあらすじと結末までのネタバレをご紹介。ここで紹介しているのはあくまで原作のあらすじで、ドラマとは結構相違があるという点はご注意ください。
また、あらすじはすべての設定を事細かに書くのではなく、あくまであらすじの骨格を紹介しています。結末までの細かい設定の推移や話の展開がどうしても気になる方はドラマをご覧になるか、原作本をお読みになってくださいません。
目次
ようこそわが家へ…父の会社内で起きる不正のあらすじとネタバレ
社内で勃発した架空取引問題のあらすじと顛末・結末
まず原作で描かれているのはナカノ電子部品という会社で起きる不正問題について解説していきます。最初は在庫のチェックで物がない事態の発覚に端を発し、どんどん問題が大きくなるにつれて倉田太一は瀬戸際に追い詰められていきます。気が弱く弁も立たない軟弱な一面を持ちながら、不正を許さない姿勢で社内の人間とやりあっていきます。
原作小説は全部で6章から構成。登場人物、企業名などはすべて原作のものをそのまま紹介しており、ドラマでのものとは相違があるかもしれませんのでご注意を。
第1章
二千万円分の在庫が行方不明。相模ドリルという会社からドリル二千万円分を購入した記録がありながら、ものがない。販売もされていない。担当の営業部長、真瀬に指摘をしたところ、動揺を見せつつも翌朝に大量のドリルが突然現れる。
第2章
真瀬の交通費二重請求が発覚。自社と相手先企業の2社から交通費を請求しており、一度は本人も二重請求を認めるものの、その後急展開。真瀬本人も事実を一転して否定し、一度は交通費を支給していたことを認めた相手先企業も真瀬に同調し始める。倉田は困惑を隠せず自分の勘違いを疑っていたところ、以前突然現れたドリルは廃棄扱いの代物で、せいぜい1本1円程度の価値しかないものだったことが判明。
第3章
相模ドリルが発送した廃棄ドリルは相模ドリルの社長自らの指示だったことが判明。つまり、単なるミスであんな代物が送られたのではないということがわかる。ここで架空取引の疑いが強まる。2千万円分のドリルが廃棄モノだったことを真瀬営業部長に指摘すると、今度は本物の新品ドリルが間もなく納入された。いったい、この取引の目的は何なのか?
第4章
二千万円分のドリルの販売先が営業部の真瀬から報告される。しかし、その販売先・イーグル精密は今にも倒産寸前の業績。しかも販売代金の回収は全額手形、つまり決済条件が非常に悪く、さらに販売代金を回収するまでに倒産されてしまうと2千万円分全額損害を被るといういわくつきの会社。
いくらなんでもリスクが高すぎると倉田は社内で反対するが、社長は真瀬営業部長に同調。その理由は、販売先の企業が買収される見込みで倒産リスクを回避できるという情報があるからだという。次第に社長とも真瀬とも溝を深めて孤立する倉田太一。
第5章
いわくつきの販売先、イーグル精密は買収されることなく倒産。手形は不渡りとなり、販売した代金2千万円分はすべて実損となる。中小企業の取っては大ダメージである。社長は倉田の主張に根拠が薄かったことを理由に謝罪せず、真瀬営業部長も相変わらずのまま。総務部で取引企業の審査を担当している倉田にとって、今の会社における自分の役割が一切認められていないことを痛感する。
第6章
イーグル精密に販売されたドリルの配送先が、全く違う企業だったことが判明。つまり、イーグル精密に販売したはずが別の企業に納品されている。事情を調べていくと、新潟の企業で仕入れ先は相模ドリルだという。本来は相模ドリル→ナカノ電子部品→イーグル精密という流れのはずが、なぜか相模ドリル→新潟半導体になっているという。
倉田が暴いた事件の真相はこう。この一件はすべて真瀬営業部長が仕組んだ不正取引であり、その裏には相模ドリルの社長との関係があった。
彼は過去会社を立ち上げるも間もなく失敗し倒産。金を回収しようとする銀行に敵意を見せつつも、苦しい状況で金の工面をしてくれたのが相模ドリルの社長だった。その社長から業績悪化に伴い資金面での援助をお願いされた真瀬は、不正取引ですぐに金を回収するはずが様々な事情が重なり失敗。相模ドリルに二千万円を返済させる義務を生じさせないために自社にその損害を押し付けたのだという。
後半の大きな見せ場は2つ
物語の見せ場は後半に二つあります。まず一つ目は不正を暴き、買収話を持ち込んだとされる真中という男を交えた場。その真中とナカノ電子部品の持川社長、真瀬営業部長、そして倉田の4者が顔をそろえる場面。
もう一つは最後の最後、事件がすべて落ち着いた後に持川社長と倉田が顔を合わせて話す場面。今まで対立構図で劣勢だった倉田が徐々に存在感を示して反撃していくのですが、反撃の象徴となるのが前者の場面、そして勝負の決着がついた後のシーンが後者の場面になります。
銀行から出向中の父は居残りか転籍か?
出向先の社内で孤立を深めていく倉田太一は社長との溝も深まり、ついに出向取りやめの話があることを知る。つまり、銀行から出向してきた人間を銀行に戻すということ。いよいよ自分の立場が苦しくなったことを知る倉田は、その後あざやかな反撃に繰り出していきます。
最終的には出向先から銀行に戻るという結末になりますが、一応はハッピーエンドで送り出されることになります。そこまでのあらすじはどうぞドラマでお楽しみ下さい!あるいは、この辺の設定が丸々カットされていた場合は、原作本を読んでみてください。さすがに全部は書けないのでw